「働き方改革」を実現するために

働き方改革の推進を目的とした「働き方改革関連法」が2019年4月1日から順次施行されています。
しかし施行されたと言っても

  • 「働き方改革関連法」ってよく聞くけどどんなものかあまり知らない
  • どんな対応が必要なのか分からない

このようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
そこでこのページでは「働き方改革関連法」とその対応方法について要点をまとめて解説します。

※内容は2019年8月時点のものです。今後変更になる可能性がございます。

働き方改革関連法とは

「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」とは、働き方改革の推進を目的とした、いくつかの労働法の改正を行うための法律の通称です。

そもそも「働き方改革」とはなにかと言うと、ひとりひとりのスキルやライフスタイルにあった多様な働き方を可能にして、「一億総活躍社会」を実現するための取り組みのことです。
その背景には、日本が抱える「少子高齢化」「労働人口の減少」「長時間労働による過労死・自殺」などの深刻な社会問題があります。
そこで有識者を集めた働き方改革実現会議が開催され、2018年6月29日に働き方改革関連法案が可決・成立しました。

働き方改革関連法の施行は2019年4月1日から順次始まっています。

今回の法改正により罰則が定められたものもありますので、企業が取るべき対応についてよく理解し、対応漏れのないようにしましょう。

 

企業が取るべき対応

働き方改革関連法の施行により、企業にどのような対応が求められるかを詳しく解説します。

目次
 

年次有給休暇の確実な取得

改正概要

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日有休を、取得時季を指定して与えることが義務付けられます。

取得単位は「1日単位」と「半日単位(0.5日)」。
時間単位で取得した有休はカウント不可なのでご注意ください。

対象者

2019年4月以降に10日以上の有給が付与される、パート・アルバイトを含む全従業員。

期間

有休付与日(基準日)から1年以内。

(例)4月1日入社の場合

義務として課せられる実務
時季指定

会社は時季指定にあたり、従業員の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなくてはいけません。
ただし以下は、時季指定が必要な5日間から控除されます。

  • 従業員自ら時季指定して取得した有休
  • 計画的付与制度により取得した有休

また、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法などについて就業規則に記載しなければなりません。

年次有給休暇管理簿の作成

従業員ごとに基準日・取得日・取得日数を明記した管理簿を作成し、3年間保存する義務が課せられます。単独の帳簿である必要はなく、システム上で管理しても問題ありません

有休カレンダー
罰則
就業規則への時季指定に関する記載
  • 時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合、30万円以下の罰金
年5日の年次有給休暇取得
  • 年5日の有休取得が未達の場合、一人あたり30万円以下の罰金
    ※有休を取得しなかった従業員に対する罰則はありません
  • 従業員の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、一人あたり6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
年次有給休暇に関する罰則
 

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労働時間の適正把握の義務化

改正概要

2019年4月より「客観的方法による労働時間把握」が義務化されています。
使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、「厚生労働省令で定める方法」に則って記録することが義務付けられています。

対象となる労働時間

客観的にみて、労働者が使用者の指揮命令のもとに置かれている時間が把握義務化の対象です。

<業務時間以外に対象となる時間の例>

  • 業務開始時の交代引継ぎ・朝礼・体操など
  • 業務終了時の終礼・清掃時間など
  • 待機時間・手持ち時間
  • 参加義務のある研修、教育訓練。会社指示による学習時間
対象となる労働者

高度プロフェッショナル制度の対象者をのぞく全ての労働者が対象です。
管理監督者・裁量労働制の適用者なども対象に含まれているのでご注意ください。

労働時間の把握方法

タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録など客観的な方法その他の適切な方法。

医師による面接指導

労働時間が週40時間を超えた時間数が、休日労働を含む月80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者に対して医師による面接指導を行います。

労働時間の適正把握
義務として課せられる実務
客観的方法による労働時間把握

原則としてタイムカード、ICカード、パソコンのログインログオフ時間、使用者による現認など、客観的な記録により労働時間を確認し記録しなくてはいけません。
やむを得ず客観的な方法により労働時間で把握できない場合は、一定の手順で自己申告することも可能です。

賃金台帳への適正な記入

労働者の労働日数、労働時間、休日労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間などを賃金台帳に適正に記入しなければなりません。

労働時間の記録に関する書類の保管

出勤簿、タイムカードなどの労働時間の記録を、賃金台帳と同様に3年間保管しなければなりません。

労働時間記録
罰則
賃金台帳への適正な記入

記入していない、虚偽の記載は30万円以下の罰金

労働時間の記録に関する書類の保管

既定の期間保管されていない場合、30万円以下の罰金

※労働時間の把握義務化自体に罰則はありません。しかし時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務に適切に対応することが難しくなる為、その他の義務の罰則を科せられる恐れが高まります。

賃金台帳と資料
 

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時間外労働の上限規制

改正概要

36協定で定める限度時間に上限が設けられ、上限を超えると罰則が適用されます。
時間外労働時間だけではなく、休日労働時間を合算した時間数も規制の対象になるのでご注意ください。

一般条項:時間外労働の上限の原則

月45時間・年360時間(休日労働は含みません)
※臨時的な特別な事情がなければ、原則を超えることはできません。

特別条項:臨時的な特別な事情で労使が合意する場合の上限
  • 時間外労働 : 年720時間以内
  • 時間外労働+休日労働 : 月100時間未満
  • 時間外労働+休日労働 : 2~6カ月平均80時間以内
  • 月45時間を超過できるのは年6回まで
施行時期

大企業    : 2019年4月
中小企業 : 2020年4月

時間外労働
義務として課せられる実務
新様式の36協定届

時間外労働の上限規制を反映した新様式での締結・届出が必要です。
大企業は2019年4月以後、中小企業は2020年4月以後の期間のみを定めた36協定を、新様式で届け出します。
中小企業は2020年4月までは経過措置期間中なので、従来の様式で届出しますが、上限規制に対応できる場合は新様式で届出てもかまいません。

残業上限開始時期
罰則
新様式の36協定の締結・届出

施行前と施行後に跨る期間の36協定を締結している場合は、協定の初日から1年間に限って有効です。4月1日開始の協定を締結し直す必要はありません。
既に締結済の協定の初日から1年経過後に新たに定める協定から新様式で締結します。

36協定の締結をせずに時間外労働をさせた場合、36協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

残業時間の上限規制

違反した場合は、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
※法違反の有無は「所定外労働時間」ではなく、「法定外労働時間」の超過時間で判断します。

<注意したい違反ケース>

  • 時間外労働が月45時間を超えた回数が年間で7回以上
  • 1カ月の時間外労働+休日労働の合計が100時間以上
  • 時間外労働+休日労働の合計の2~6カ月平均のいずれかが80時間を超過
    ※「2カ月平均は超過しないが3カ月平均では超過する」という場合も違反となります。
残業時間上限規制-注意したいケース
 

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正規と非正規の待遇差の解消(同一労働同一賃金)

改正概要

同一企業内において、正社員と非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差が禁止されます。
正社員と非正規社員の待遇格差をなくし、どのような雇用形態でも納得のいく処遇を受けられることで、多様な働き方を選択できるようにするのが狙いです。

不合理な待遇差を解消するための規定の整備

裁判の際に判断基準となる均衡待遇規定」「均等待遇規定」が法律に整備されます。

  • 均衡待遇規定<法第8条>(不合理な待遇差の禁止)
    「職務内容(業務の内容および責任の程度)」「職務内容・配置の変更の範囲」「その他の事情」を考慮して不合理な待遇差を禁止する規定です。
    個々の待遇ごとに、その性質・目的に照らし適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確化されます。
  • 均等待遇規定<法第9条>(差別的取扱いの禁止)
    「職務内容(業務の内容および責任の程度)」「職務内容・配置の変更の範囲」が同じ場合の差別的取扱いを禁止する規定です。
    新たに有期雇用労働者、派遣労働者も対象となります。
  • ガイドライン(指針)
    待遇ごとに判断することを明確化したガイドライン(指針)が策定されます。

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

非正規社員が自身の待遇についての説明を要求できる権利が法的に明確化されます。
これにより、事業主には説明要求に応じる義務が発生します。
また、「待遇についての説明を要求したこと」を理由に当該社員を解雇したり、不当な取り扱いをすることも禁じられています。

履行確保措置・裁判外紛争解決手続(行政ADR:Alternative Dispute Resolution)の整備
  • 履行確保措置とは
    行政による事業主への助言・指導等のことです。
    改正前はパートタイム労働者・派遣労働者に適用されていましたが、改正後は有期雇用労働者にも適用されます。
    これにより、有期雇用労働者の待遇改善のために、行政が介入して事業主に報告の要求や指導等をできるようになります。
  • 裁判外紛争解決手続(行政ADR)とは
    「労使上のトラブルを訴訟によらない方法で解決に導く手続き」のことです。
    改正前はパートタイム労働者に部分的に適用されていましたが、改正後は有期雇用労働者・派遣労働者にも適用されます。
    これにより、裁判ではなく当事者同士の話し合いによって、双方納得のいく解決方法を迅速に図れるようになります。

事業主として人を雇う以上、労使トラブルのリスクは避けられないものです。
労使トラブルが起きないことが一番ですが、万一起きてしまった場合は迅速に対処することが重要となります。

行時期

大企業    : 2020年4月
中小企業 : 2021年4月

 
義務として課せられる実務
自社の職務内容・就業規則の点検

自社の職務内容(業務の内容および責任の程度)や、それを遂行するにあたり必要な能力等を明確にしましょう。
その上で、基本給や賞与、福利厚生など、各種手当の処遇が「均衡処遇規定」「均等処遇規定」に順ずるものになっているか点検します。
規定に反している場合は是正する必要がありますが、事業主と労働者間での合意がないまま、一方的に待遇を引き下げることは控えなくてはなりません。

人件費の計算・コスト削減

待遇差の解消を実現させるには、大半の場合、人件費が増加することになります。コスト削減策を検討することも視野に入れておいたほうが良いでしょう。

関係者間での認識共有の徹底

特に派遣労働者の場合、雇用関係にある派遣元と指揮命令関係にある派遣先の二つが存在します。これらの関係者が不合理と認められる待遇の相違を解消できるよう、関係者間での認識共有を徹底する必要があります。

罰則
規定なし

2019年8月時点で罰則規定はありません。
しかし不合理な待遇を行っていた場合、労働者より損害賠償請求を受けるリスクがあります。
企業イメージの失墜を避けるためにも、今回整備された規則に則って適切に対応することが求められます。

 

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60時間超の時間外労働に対する割増賃金

改正概要

2023年4月から中小企業も月60時間超の法定時間外労働の割り増し賃金を50%以上に引き上げられます。
※法定時間外労働:法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超過した労働時間
※1か月の起算日は賃金計算期間の初日、毎月1日、36協定の期間の初日など

割増賃金か代替休暇

時間外労働が60時間を超過した場合、以下のどちらかによる対応が必要になります。

  • 割増賃金率の引き上げ
    超過時間に対して、50%以上の割増賃金率による割増賃金を支払う。
  • 代替休暇の活用
    割増賃金率の引き上げ分(25%)の支払に代えて代替休暇(有給)を与えます。
    ※代替休暇制度の導入には労使協定が必要
    ※休暇に代替できるのは引き上げ分(25%)のみ割増賃金率1.25までは必ず金銭で支払う
深夜労働との関係

深夜(22:00~5:00)の時間帯に月60時間を超える法定外労働を行わせた場合は「深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上=75%以上の割増賃金」になります。

法定休日労働との関係

法定休日(例:日曜)の労働は月60時間の計算対象外です。しかしそれ以外の休日(例:土曜)は法定時間外労働として計算対象になります。
※法定休日:1週間に1日または4週間に4回の休日を与えるよう義務付けられています。法定休日に労働させた場合は35%以上の割増賃金の支払いが必要です。

施行時期

中小企業 : 2023年4月

割増賃金と代替休暇
義務として課せられる実務
代替休暇制度導入時の労使協定

代替休暇制度を導入しない場合は義務として課せられる実務は特にありません。
また、代替休暇取得は義務ではないので、代替休暇の取得は労働者に決定権があります。

<労使協定で定める事項>

  1. 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
  2. 代替休暇の単位(1日、半日)
  3. 代替休暇を与えることができる期間(超過月の末日の翌日から2か月以内)
  4. 代替休暇の取得日の決定方法
代替休暇の算定方法例
罰則
割増賃金の未払い

6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

 
 

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